君となら
素直になるのも、意地をはるのも、
きっと大した違いはない。










直球ストレート勝負










「ウィンリィ一回しか言わないからよーく聞いとけ」


すう、と大きく息を吸い込む。
そして吸い込んだ息を一気に吐き出すようにして


「俺と付き合ってください!」


渾身の一言を放った。










・・・・・・壁に向かって。





今日オレは、一代決心をした。
そう、幼馴染み兼、専属機械鎧整備士の彼女に、いわゆるこ、「こくはく」をする。
とは言ったものの、決心してから時は経ち、
すでに就寝していてもおかしくない時刻になっている。

・・・おかしい。
朝から何度も心の中で復唱して、何度もタイミングを狙ったはず。
なぜだ。
なぜオレはやり遂げていない!?
国家錬金術師であり、聡明で知的なこのオレ様が!


「そもそも、あいつが今日に限って一人にならないのが悪いんだよ!」

急にアルと3人で散歩に行こうなんて言い出すし、
しかも、帰りに友達だかなんだかと話しだすし、
家に帰ったら帰ったでばっちゃんと一緒に新型の機械鎧がどうのこうのって討論するし!

「あ〜あ、なんか・・・気持ち伝えんのって難しいんだな・・・」

何度も何度も練習したおかげで、台詞もそらで言える。



「・・・好きだ、リィ・・・」

つい口にでるのは、彼女への好意の気持ち。
だが何度言ったところで、言葉は消えていくばかりで。



・・・うん。今日はやめようかな・・・



そう思ったとき、



「今、なんて言ったの・・・?」
「うおわああああぁぁぁ!!??」
「ちょっと・・・」
「ウウウウウィンリ!?い、いい、いつからそこに・・・!!」
「も、もう一回言ってくれる?」
「いやいやいや、今の、き、き、聞いて・・・!?」
「お願いエド!もう一回!」

なんだってんだよ。
こんなのアリか。
めちゃくちゃじゃねーか!


「ま、待ってくれよ・・・」


落ち着けオレ。
冷静に考えろ。
これはチャンスだろ?
今、この部屋にいるのはウィンリィとオレだけだ。
言うなら今だ。

「あ、あのな、ウィンリィ」
「な・・・なに?」


・・・なんだかウィンリィが、やけにキラキラして見える。
こいつ、こんなにかわいかったか?
体中、脂汗が吹き出てくる。
顔が紅潮するのがわかる。



「あ、あの、その、す・・・」
「す・・・?」
「す、す、」
「す・・・!?」



だああああああ!
やっぱりムリだ!!



「てゆうかお前、聞いてたんだろ!!??」
「き、聞いてたけどもう一回聞きたいの!」
「聞いてたなら言わせんなよ!」
「何よ!言ってくれてもいいじゃない!」
「んなこっぱずかしい事何度もいえるか!!何で何回も聞きたがるんだよ!?」
「そ、それは・・・!」


うつむいて、顔を赤らめるウィンリィ。
なんだなんだ!?
今日のこいつはどうしたんだ!
尋常じゃないかわいさだぞ!
絶対おかしい!
いや、むしろオレか!?
おかしいのはオレなのか!??

もはや思考回路はショートしたも同然だった。



「・・・ちゃんと、聞きたいの」

ウィンリィがぽつりと言った。


「聞きたかった言葉だから、顔をみて、ちゃんと」
「だ、だからって・・・っ」


だからってそんなこと、何度も言えることじゃない。


「エド・・・お願い」


ましてや何度も言うことでもないと、思う。


「もう一回・・・」


だから。


「ねぇ、エド、」



〜〜〜だ、だからっ!!



どんどん近づいてくるウィンリィ。
どんどん、
どんどん。


・・・て、近すぎだろアホ!
今がどういう状況かわかってねえ!



「・・・っあ〜〜〜!るせぇなあ!なんでもねーよ!!」
「・・・・・・」



怒鳴ってしまった。
とたんにしん、と静まる部屋。
さっきまで煩いと思っていたしつこい問答が、懐かしくなった。


「・・・あ、ち、違くてだな・・・その」

そうだ。
今日はこんな風になるために、一台決心をしたんじゃないだろ。



「なんでもないんだ」
「え」
「そっか・・・」
「ウィンリィ・・・さん?」
「いいよ。何度もしつこく聞いてごめん」


ちょっと待て。
違う。
違うんだ。
今のは言葉のあやってやつで。

オレは、オレは本当にお前を。



「・・・期待して損した」


・・・期待?
期待ってなんだ。
何を期待したってんだよ。


「バカ豆!ふんづけられちゃえ!」



この際クソムカツクその言葉も、意味不明な捨て台詞も聞き流すよ。
それよりも気になるのは。



「期待、してればいいんじゃねぇの・・・」


走って行こうとするウィンリィの腕をつかむ。



「だから、ここにいろ」
「・・・わかった」


期待しまくってるのは、オレの方だ。



「ウィンリィ、一回しか言わねえからよく聞いとけ」
「う、うん・・・」


「オレは、お前が・・・」
「・・・・・・」
「す、好きだ」
「うん、私もだよ!大好きエド!」


花のような、満面の笑顔でこたえるウィンリィ。
ああ、かわいいな。
両想いって、こんなにも心が温かくなるもんなんだな。





‐‐‐‐‐‐‐





思いが通じてほっとしたところで、オレは一つの疑問が浮かんだ。

「ところでウィンリィ、どうしてこんな時間にオレの部屋にきたんだ?」
「え、だってエドが」
「オレ?オレなんかしたっけ?」
「今日1日ずっと私のこと見てたから」
「え!?」
「なんか言いたいことあるのかなーって」

ウィンリィはにこっと笑った。


・・・・・・。


・・・それってもしかして。





「・・・・・・可愛くねー女」










*****
告白の場面は、お互いに素直じゃないと思う。
常にエドがへたれててすみません。





『直球ストレート勝負』 title by---blue crescent