元の体を取り戻してもうすぐ半年がたつ。










「おかえりなさい」



体を取り戻して帰ってきたとき、あいつはそう言って喜んでくれた。
だが困ったことに、それから事あるごとに泣く涙線のゆるいやつになってしまった。

嬉しいが、照れくさくて仕方がないのも事実である。














そう。
半年経った今も、オレとあいつは幼馴染という関係のままである。
ていうか、自覚して認めるのにも散々時間を費やしたのに、
これ以上どうにかするってのはオレにとっては最大級の勇気と覚悟を必要とするわけで。







ああ、わかってる。
わかってるさ嫌というほど。

ラッシュバレーにいたころのあいつの人気っぷりをみていればな。
何度となく言い寄ってくる男どもを蹴散らしたか知れない。

だからといって、
この「幼馴染」という確固たる絶対の関係を、
崩すような知恵もきっかけも、
情けないことにオレは持ち合わせていなかった。










……が。








なんでオレのベッドで寝てるのか、とか。
そもそもいつの間にオレの部屋に、とか。
アルはどこに行ったんだ、とか。

もろもろ疑問は多いがそれよりもまず。







と思ってしまうのは男の性ってやつだ。





・・・いやいやそうじゃないだろうオレ。





これはこいつのオレに対する信頼の証。

と同時に、オレを男としてみていないという宣告でもあった。(悲しいことに)












しかもベッドで。
しかもオレの枕を抱きまくら代わりにしやがって。










         ドクン
















冗談じゃねえ。





虚しさと、焦り。
苛立ちにも似た苦い感情が、
胸の中を渦まいた。





このまま、幼馴染のままでいいのか。
伝えたいことは言えず、触れることもできず、
このまま他の誰かに奪われるのを待っているのか。



ずっと感じていたはずだ。
旅をしているあのころから。





こいつが、ほしいと。






が、そんな感慨は置いといて、だ。
一体どうすればいいのか。
とりあえず、この悲惨な状況を打開しないことにはオレに明日はない。(アルに殺される)





起こすべきだ。
声をかけて体を揺らせば、簡単に眠りは覚めるだろう。





しかしーーー









実行できそうに、ない。











こんなに近くにいても、こいつは気付かない。
安心しきった、翳りのない顔。
信頼している幼馴染が自分をそうゆう眼で見ていると知ったら、
こいつはどう思うのだろう。





時々わからなくなる。

一体自分はどうしたいのか。






このまま「幼馴染」という現状に甘えて安心していたいのか、
それとも、一歩踏み出して一か八かの賭けにでるのか。






















こいつの前ではどんな理屈も平常心も意味をなさない。
この感情を誤魔化すことなんて、もうできそうにない。











いよいよ、制御不能のようだ。










END










かっこいい兄さんを書きたいと思っていたはずなんですが、始終情けない兄さんになりました(あれー?)
つまり「バランスコントロールできていない兄さん」ということ、で す・・・orz
あんまりお題に添えてねぇぇぇ!!
お粗末さまでした(本当にネ!)
すんごい簡単な場所におまけもありますよ